今日、川から上がろうと練習場所からいつもの河原に流れ下っていったら、大きな犬がじっとこちらを見ている。白い大きな犬だ。だんだん近くなって濡れているが毛が長いのがわかった。おそらくゴールデンレトリバー。流れの際まで来てボクの姿を興味津々に見つめている。そりゃ、不思議だったんだろう。水の上を人が移動してくるのだもの。今にも川に飛び込んできそうな興奮した様子が伝わって来る。河原の中央で腰を下ろしてた若いカップル(夫婦だったかも)の女性が心配して腰を上げた。
フネを降りる時は砂利の岸の上に後ろ向きに乗ったままずり上がる。いつものようにくるりと方向を変えて河原にずり上がる。ガリガリと大きめな音がして、犬がビックリして吠えた。
振り向いて手を伸ばして「大丈夫だよ、怖くないよ」と言うと、まだ少しビクビクしながら近づいて来た。鼻先に触れてやるとすぐに安心したのか、今度は大喜びでまとわりついて来た。飼い主の女性が申し訳なさそうに「すいませ〜ん、こら、やめなさい」なんて言うが、本気で叱っていないので聞く訳もない。
「ほーら、怖くないだろ?」一瞬にして、もう完全になつかれた。激しく尻尾を振りながら、まだ乗ったままのフネの上にのしかかるようにジャレついてきて顔を嘗める。前足で飛びかかるようにして体ごと抱きついて来る。飼い主が「すいません」を繰り返すので「大丈夫ですよ、水は平気なんですか」と聞くと、「大好きなんです」という。
犬と遊ぶ時は汚れるのは当たり前、カヌーのウエアだからなおさら平気だしね。「なんだ、お前はフネに乗りたいのか?」しかし、ちょっと大き過ぎる。スプレーカバーを外してフネから出る。
「そうなってるから水が入らないんですね?」と飼い主の女性。本当にカヌーに興味があるのか、気を遣ってそう言ったのかは不明。御主人なのか男性は、座ったまま遠くから微笑んで見ている。せっかく水入らずで静かに川を眺めていたのに邪魔しちゃ悪い。
でもチョットだけ、水は平気というので川の浅いところで遊んだ。ほんの少し構ってやるだけで興奮して水辺を飛び回る。どう見ても子供なので年齢を聞いたら2歳だそうだ。やっぱり、遊び盛りの子犬だったわけだ。でも、体格は大きい。「こんなに懐いて……。犬、飼ってるんですか?」と女性。「いや、ずいぶん昔に」
最後の犬が死んだのは1992年だったからもう17年も犬の居ない生活。団地住まいの時を除いて犬を飼っていたことが多かった。でも、いつも不慮のアクシデントで亡くす。ぼくらが成人して家を出てから最後の犬が病気で死んで、「死ぬのがかわいそうだから、もう飼わない」という母に誰も反対はしなかった。世話することもできないし
実家を出ていたから犬はもう諦めていたが、5年前に実家に戻る時「犬が飼える」と子供と楽しみにしていたのだが、結局いままで実現しなかった。
そもそも、カヌーを始めたのは家族みんなで楽しめる遊びだと思ったからだったのに、子供はまだしもカミさんが今ひとつ興味を示さず、結局一人で続けた結果がフリースタイルという方向に向かってしまった。でも、本来やろうと思ったのはキャンプなどして川で遊びながらの川下り。有名なカナダ〜アラスカのユーコン川にも行きたいなあと思っていた。しかし、両親の郷里の四万十川すら未だまともに下っていない。
それでも、川下りのお供に犬がいれば楽しかろうにと思ったのは言うまでもない。でも結局これまで飼わずじまい。
WNには猫がいるし、もう犬と遊ぶことなんて忘れかけていた。メンバーで犬を連れてくる人もいるがあまり遊んだことはなかった。久々に子犬(といっても大きかったけど)にチョットだけ遊んでもらって自然とは違う癒され方だった。やはり生き物はいいなと思う。でも、犬より家族をちゃんとしなさいという声が誰かから聞こえて来そうだ。
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